シェーグレン症候群様病態の解明によるマウスモデル確立のため、本マウス(K5/IL-18Tgマウス)の唾液腺、涙腺、胸腺のIL-18とK5の発現がコントロールマウスと比較して亢進しているか否かを免疫組織化学染色で検討した。 また、K5/IL-18Tgマウスがシェーグレン症候群症状を呈することを、唾液腺、涙腺、胸腺リンパ節について病理組織学的に検討し、更に口腔乾燥の検索・導管周囲へのリンパ球浸潤・自己抗体の産生といった点について、実際のシェーグレン症候群発症の年齢層及び男女差をふまえ、生後4週から24ヶ月に至るまで雌雄差を含め経時的に検討を行った。 免疫組織化学染色ではIL-18の発現は見られるものの、コントロールマウスと比較しての明らかな有意差は検索できなかった。口腔乾燥については、個体差が大きく試料の採取方法の確立が難しく検討中であった。自己抗体はわずかにK5/IL-18Tgマウスで上昇を認めたが、有意差は認められなかった。現段階では以上のような結果を得ているが、サンプル数の少なさも原因の一つと考えており、経時的評価の必要性も併せて、組織検討も含め今後も継続した試料採取と解析が必要と考えていた。組織ごとの浸潤リンパ球構成はシェーグレン症候群との類似性が認められた。 しかし、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響により作成した試料の大半が破損、融解等で消失し、実験データそのものも一部消失してしまった。前述のように本研究は経時的評価が非常に重要であるため、新たに試料を採取することが難しく、本研究の継続は困難と思われる。
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