研究課題/領域番号 |
22791813
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
太田 里永子 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (30452460)
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キーワード | 補体 / ワクチン / 腫瘍免疫 / MUC1 / アジュバント / 口腔癌 / 抗体 / 細胞障害性T細胞 |
研究概要 |
口腔癌患者において、腫瘍組織に口腔癌特異的な腫瘍抗原が発現しているにもかかわらず、腫瘍に対する抗体価は低く、口腔癌特異的細胞障害性T細胞(CTL)の頻度は低い。そこで、内因性アジュバントC3dを用いた口腔癌特異的MUC1抗原の新規ワクチンを作成し、その効果を検証することを目的とした。 MUC1は、粘液の主成分の高分子糖蛋白質ムチンで、以下の理由により新たな癌の標的分子となりえると考えられる。(1)主に腫瘍細胞の細胞表面に存在し、正常組織では発現量が少ないこと。(2)正常組織と腫瘍細胞表面では糖鎖付加様式が異なること。(3)MHC class I非拘束性CTL応答を誘導できること。 一方、C3dは、補体成分3Cの断片で、アジュバント様に作用する。MUC1単独では免疫原性が低いが、C3dを融合させる事により、効率よく補体レセプターを持つ細胞に認識され、MUC1に対する抗体産生を誘導するのみならず、MUC1に対するCTL誘導も可能な新規ワクチンになると予想される。 そこで本研究では、まず、マウス型及びヒト型MUC1-C3dワクチンの発現ベクターを構築した。MUC1-C3d発現ベクターをCOS細胞に遺伝子導入し、目的のタンパク質分子が発現するかどうか、ウエスタンブロッティングにより確認したが、phCMV1ベクターを発現ベクターとして用いた場合、目的のタンパク質の発現が確認されなかった。そこで、pTR600ベクターに組み換えて、再度、COS7細胞に遺伝子導入を行ったところ、目的のタンパク質が検出された。 現在、MUC1-C3dの精製を行っているが、さらにMUC1-C3dの5末端にTagを付加して、MUC1-C3dが精製しやすくなるように、組み換えMUC1-C3dを作成中である。 MUC1-C3dの精製が完了すれば、その効果をin vivo及びin vitroで解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H22の途中より産休育休のため中断していたが、復帰後、MUC1-C3d発現ベクターも順調に作成し、精製段階に入っているため。
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今後の研究の推進方策 |
MUC1-C3dを大量に精製するため、発現ベクターの検索や、遺伝子導入する細胞を検討する必要がある。 MUC1-C3dの精製が完了すれば、その効果をin vivo及びin vitroで解析する予定である。
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