研究概要 |
研究の目的 近年、口腔細菌と様々な循環器疾患との関連が注目されている。感染性心内膜炎や大動脈瘤の発症原因となる一過性の菌血症の誘因は、口腔内に存在している歯周病菌や根尖病巣からの菌の侵入という考え方が示されている。口腔衛生対策を怠ると歯周疾患や根尖病巣による膿瘍などの慢性感染や急性感染が頻発し、これらによって菌血症が頻繁に起き、心臓や他の病状などのリスクがあれば心内膜炎になるリスクが生じる。循環器病変部および口腔内のデンタルプラーク検体における細菌の分布を分子生物学的手法を用いて解析した。 研究結果 心臓血管外科で手術計画となった患者に対し、術前の口腔内プラークのサンプルからトータルDNAを抽出し、リアルタイムPCRを用い、口腔細菌の検出を行った。 プライマーは、A. actinomycetemcomitans、T. forsythensis、C. pneumonia,E. corrodens,P. gingivalis,P. intermedia,S. epidermidis,S. mutans,S. aureus,T. denticola,16sRNA,のプライマーを用いた。 同一患者て摘出された標本に関しても同様にリアルタイムPCRにて細菌を同定した。 口腔内からの口腔細菌は高確率で検出たのに対し、同一患者における手術切除物から検出される細菌の種類や量に関しては非常に少なく、S. mutansが多くのサンプルで認められたものの、非常に少なかった。定量を行い、口腔細菌と切除サンプルとの細菌の検出率とその量を比較した。しかし、切除サンプルからの検出される量が少ないことから、菌の量や割合に関して有意差を得ることはできなかった。 現在は、サンプル内の細菌の付着している部位を追求するため、切除した血管や弁のどの部位に細菌が付着しやすいに着目し、細菌の検出の効率を上げていけるよう研究を進めている段階である。
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