研究概要 |
本研究の目的は、歯根形成の分子機構が未解明である現状をふまえ、小児期の放射線照射が歯根形成に及ぼす影響について、分子レベルでの歯根の形成阻害のメカニズムを明らかにすることである。そのため、以前からC57BLマウスにおいて歯根形成開始期とされる生後5日齢の頭部に放射線を照射し、歯根形成に与える影響についての解析を行っている。そして、過去の研究により5Gyの照射で歯根が短くなり、10Gyで明らかな形態変化が起こることを確認している。 本研究の初年度は、免疫組織化学染色(免疫染色)による検討を中心に行うことを考え、実験を遂行した。以下にその概要を示す。 1.免疫染色による染色方法の確立 細胞増殖マーカー(PCNA,BrdU,Ki67など)、アポトーシスマーカー(ssDNAなど)、象牙質関連マーカー(DSP,nestinなど)、ヘルトヴィッヒ上皮鞘のための上皮マーカー(サイトケラチン)などの抗体を用いた適正な条件下での染色を行うため、各抗体に適した抗原の賦活化方法、抗体の希釈濃度等の条件検討をおこなった。 2.マウスの歯根形成期におけるヘルトヴィッヒ上皮鞘とその周囲組織の細胞動態の観察 歯根形成が行われる生後5日齢から28日齢までのヘルトヴィッヒ上皮鞘とその周囲組織の細胞動態について、免疫染色法による染色を行い、観察を行った。 なお、その結果は、第52回歯科基礎医学会学術大会・総会、第116回日本解剖学会総会・全国学術集会にて報告した。
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