研究課題
本研究では、CT、歯科用CT画像との比較による臨床解剖の手法を用いて、顎骨とその周囲組織の脈管神経分布を明らかにすることを試みている。当該年度においては1.臼後部二分下顎の管検討2.下顎管の発生過程の検討3.下顎骨側方部舌側孔の出現頻度の検討について研究を実施した。各研究の具体的内容について以下に示す。1.臼後部二分下顎管の検討解剖実習用献体を用いて、臼後部二分下顎管のパノラマX線写真、CT、歯科用CT画像の比較を行い、さらに歯科用CT画像所見を解剖・組織学的に検討した。本研究で臼後部の二分下顎には神経束が分布していることが明らかになった。これらの内容は下顎智歯抜歯や下顎枝矢状分割術などにおける術前のCT画像検査の有用性を提示できるもので、現在Dentomaxillofacial Radiologyに投稿中である。2.下顎管の発生過程の検討胎児乾燥下顎骨(9体)の下顎管分布を、歯科用CTを用いて検討を行った。本研究で胎児(後期)の下顎管は複数存在することが明らかになり、臨床でみられる二分下顎管の発現傾向を示唆するもであった。これらの内容は、下顎骨の外科的処置時の画像診断に際して有用な情報であり、第52回歯科基礎医学会総会・学術大会において発表を行った。また、本研究内容の関連研究論文がSurgical and Radiologic Anatomy 2011.33;141-146に掲載された。3.下顎骨側方部舌側孔の出現頻度の検討120例の臨床CT画像を用いて、舌側孔の出現頻度、部位別出現頻度、出現形態について検討を行った。すべての患者に下顎正中部に舌側孔が存在すること、また半数の患者は小臼歯部に舌側孔が存在することが明らかになった。これらの内容はインプラントや歯周外科など広範囲の剥離を伴う外科処置を行う際に、有用な情報となることが考えられる。本研究内容は2011年5月に開催予定の第18回国際歯顎顔面放射線学会において発表予定である。
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Surgical and Radiologic Anatomy
巻: Vol.33.No.2 ページ: 141-146
DOI:10.1007/s00276-010-0719-0
Dentomaxillofacial Radiology
巻: 39 ページ: 235-239