研究課題/領域番号 |
22791822
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
中尾 龍馬 国立感染症研究所, その他部局等, 主任研究官 (10370959)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | バイオフィルム / Porphyromonas gingivalis / LPS / 大腸菌 |
研究概要 |
これまでの研究から、Porphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成にはLPSの糖鎖が関連することが明らかになっている。LPSのO多糖あるいはコア多糖の構成が明らかな大腸菌BW25113株を親株として用いて、様々なLPS糖鎖変異株におけるバイオフィルム形成を96穴プラスチックプレートのバイオフィルム形成試験などで調べたところ、O多糖やコア多糖の構成の違いによりバイオフィルム形成に影響を与えることが明らかとなった。大腸菌BW25113株のLPSコア多糖を構成する糖の数とバイオフィルム形成量は逆相関するという結果となった。また大腸菌コア多糖には3つのヘプトースが含まれるが、この3つすべてのヘプトースを欠損するLPS変異株hldE株は、野生株に比べ3~4倍もバイオフィルム形成能が高く、このバイオフィルム形成はDNase処理により大きく阻害されたことから、そのバイオフィルム形成機構は細胞外DNA依存性であることが示唆された。またhldE変異株は、48時間培養後もその内膜の連続性が保たれていたが、外膜は野生株に比べ菲薄であり連続性を失っていた。またO多糖を持たないBW25113株にwbbL遺伝子のin trans相補を行うことでO多糖産生を回復させると、バイオフィルム形成は低下した。したがって、O多糖の存在がバイオフィルム形成に影響与えることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今期は、国内外学会発表5報、および学術雑誌への論文出版1報などの業績が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
Porphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成において重要な糖(鎖)を同定することを目的に、Porphyromonas gingivalis のLPS変異株の作成を行い、そのバイオフィルム形成を調べる。また、大腸菌バイオフィルムの過形成を引き起こすプラスミド遺伝子が存在する可能性があるので、これについて検討を行う。
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