研究課題
金属アレルギーはT細胞によって引き起こされる遅延型アレルギー反応であるが、その抗原特異性ならびに病態発症メカニズムについては不明な点が多く、ヒトの病態解明に外挿性のある適切なモデル動物の確立が望まれている。我々は本研究において、既存の金属アレルギーマウスモデル(Sato N et al, Clin Exp Allergy, 2007)を一部改変し、パラジウム(Pd)とニッケル(Ni)2種金属アレルギーのモデルマウスを作製した。具体的には、金属を反復暴露させることによって、ヒト金属アレルギーで報告されている上皮内のT細胞の浸潤、病変部組織のサイトカインプロファイル、そして浸潤T細胞に対する特異性に関する詳細な検討(TCR repertoire解析・CDR3 size spectratyping解析・CDR3アミノ酸配列解析)を可能とした。その結果、病変部組織ではPd・Niともに上皮内のT細胞浸潤を認め、Th1タイプのサイトカインの亢進を認めた。PdではTCRAV18-1の有意な上昇とクローナルな増殖を認め、NiではNKT細胞の有意な上昇を認めた。NiアレルギーはヒトにおいてもKNT細胞の関与が報告されており、我々が作製したモデルマウスはヒト金属アレルギーと相同性が高いと考えらえた。現在までに、モデルマウスを用いて詳細なT細胞解析を報告したものはほとんど存在せず、我々が作製したモデルマウスは新規性があり、今後アレルギーの診断・治療に寄与することと考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Immunol Methods.
巻: 384(1-2) ページ: 81-91
doi: 10.1016/j.jim.2012.07.012.