研究概要 |
ジルコニアは、優れた審美性や生体親和性、機械的性質を有することからオールセラミック修復のコーピング材料として広く用いられてきた。しかし、その高い物性ゆえに切削しにくく、技工操作における微調整や臨床におけるジルコニアフレームの除去は大変困難であり、切削効率の向上が求められている。近年、ジルコニアをより効率的に切削するためのバーが開発されているが、これらの切削効率についての客観的評価はまだ無いのが現状である。そこで、本研究では歯科用ダイヤモンドポイント及び回転切削器具の違いがジルコニアの切削効率に及ぼす影響について評価した。被削材にはイットリア部分安定化ジルコニア(セルコン、デンツプライ)を使用し、評価する歯科用切削バーには、2種のダイヤモンドポイント;RD-31(MD、メリーダイヤ)とスムースカットK2(GC、ジーシー)を用いた。また、回転切削器具としてエアータービンハンドピース(AT);Ti-Max X600,NSK、380,000rpmと5倍速マイクロモーターハンドピース(MM);Ti-Max X95L(NSK、200,000rpm)を用いた。各群におけるジルコニア試料の切削性能は、切削性能測定試験機(東医歯大生材研試作)にて測定し、Wilcoxonの順位和検定と符号付順位検定を用いて危険率5%にて検定を行った。その結果、ジルコニアに対するダイヤモンドバーの切削性能はGCを用いた場合、5倍速マイクロモーター(MM)に比べエアータビン(AT)において高い切削性能を示した。一方でMDを用いた場合では、ATとMM間に有意な差は認められなかった。またエアータビン(AT)を用いた場合、GCはMDよりも高い切削性能を示すことが分かった。以上の結果から、ATとMMの切削効率はバーの種類によって異なり、またバーの種類によりジルコニアに対する切削性能に違いが認められることが分かった。
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