研究概要 |
歯科分野において、硬組織の構造解析は非常に重要な位置付けであるが一般に歯や骨の試料は脱灰操作を行い観察するのが一般的であるが、本研究課題においては未脱灰試料の加工及び三次元微細構造観察手法を確立し、それらを応用した超高圧電子線トモグラフィーによる三次元可視化や超薄切技術を応用した微量元素解析といったこれまでにない切り口での研究アプローチの開発を主眼に置いて研究を推進した。基礎的な観察手法の開発と臨床の現場をテーマにしつた独自の観察手法を開発し、その現象論まで捉えて臨床の現場にフィードバックしている報告を研究期間内に行うことができた。 2010年度にはテラヘルツ波を応用した硬組織の評価手法の確立、2011、12年度は、電子顕微鏡による構造観察に関する、未脱灰硬組織に対しての微細加工法およびナノスケールでの三次元微細構造観察手法がJournal of Electron Microscopyに報告された。本手法は、未脱灰でないと観察の難しい歯の破折現象や接着界面評価に応用され、同手法を応用した論文は、本年度だけでもJournal of Endodontics, Dental Materialsといった歯科の主要国際論文誌に掲載され、未脱灰硬組織の新たな観察手法として確立されたといえる。現在、さらに手法を発展させ、硬組織疾患における蛋白の局在や未脱灰の免疫電顕法なども視野に入れた多面的解析システムの構築を考えており、さらに大きな成果が将来期待される。
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