研究概要 |
予備実験および初年度に確立した平滑面白斑う蝕、裂溝う蝕、根面う蝕のμCT立体構築法とミネラル濃度表示法を用いて、初期う蝕病変を含む歯面への再石灰化処理による病変回復プロセスを経日的に追跡している。本年度はμCT立体構築と無機塩濃度表示により、レーザー照射による病状の形状変化と再石灰化の進行度を評価した。本学倫理委員会規定の下に使用を許可された抜去歯に対して脱灰・再石灰化処理を施した後にバンドソーにて歯質ブロックを作製し、歯面塗布剤を併用してレーザー照射を行う中で時系列でのμCT立体構築像と無機塩濃度変化を定量解析した。病巣領域の無機塩濃度表示に向けては、既知の無機質密度を持つ標準物質(合成ハイドロキシアパタイトと樹脂の混合物、アルミ箔、健全ヒトエナメル質)を歯質試料と同条件下で撮影し、密度vs CT値の検量線を設定した。来年度も前年度に引き続いて歯牙表面に自然発症した白斑齲蝕に対するレーザー照射を継続し,データ収集に努め、脱灰・再石灰化実験モデルにおける4D観察プロトコールを確立する予定である。また、これらの実験を進行しながら、従来の実験にて採用されてきた非脱灰研磨薄切標本の作製やコンタクトマイクロラジオグラムでの観察およびSEMによる分析を行い,初期齲蝕のレーザー照射による回復機構に関する総括的評価を予定している。このレーザー照射実験モデルは、初期齲蝕病変への新たな治療法を確立するものとして、極めて重要な実験計画であるといえる。
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