研究概要 |
本研究は,生体骨と力学的に調和した歯科用インプラントマテリアル開発を目的として,新規チタン合金の低弾性率,アモルファスリン酸カルシウムコーティング(ACP)法による骨親和性向上効果に着目し,新規Ti合金の適性とACPコーティングの効果について,動物モデルを用いた生物学的・力学的な生体親和性の評価を目的としている. 東北大学金属材料研究所にて作製された複数のTi合金基板から,Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr(TNTZ)の有効性が示唆されたため,TNTZに焦点を絞り実験を進めた. φ1mm×2mmのサイズに加工したcpTi,TNTZ,ACPコーティングを施したcpTi(ACP-cpTi),ACPコーティングを施したTNTZ(ACP-TNTZ)を10週齢雄性Sprague-Dawley系ラットの大腿骨に埋入した.2,4,8週の飼育期間後,過剰麻酔により安楽死させ大腿骨を摘出した.摘出した試料に対する打ち抜き試験からPush-in Valueを計測し,オッセオインテグレーションの強度を評価した.飼育8週において,ACPコーティング群は未加工群と比較して有意にPush-in Valueは大きい値となった.ACP-TNTZが有する低弾性,およびACPコーティングの有効性,長期的予後が良好であることが示唆され,新規インプラントマテリアルとして有望であることを認めた.
|