研究概要 |
ハイスピードカメラによる撮影を撮影対象である歯根の表面および裏面から同時に撮影が行えるように,鏡を用い,フレーム内に表面および裏面の両面が同時に収まるようにした.この状態で,繰り返し実験を行っても再現性のある撮影が行えるように専用の器具を歯科用常温重合レジンを用いて作製し,実際に撮影が行えることを確認した.また,歯根破折の動的挙動で最も観察したいのは,亀裂の起点および伝播方向,そして亀裂進展の過程であり,これを確認できる撮影速度の範囲内で最も高い解像度が得られるように最適なコマ数および解像度の条件を設定した. 支台築造方法の違いによる破折挙動の分析を行うために,支台築造に用いられる種々の材料(レジンのみ,既製ポスト+レジンコア,メタルコア,ファイバーポスト+レジンコア)の基本的物性を測定した。また,有限要素法による応力の解析を行うことで,築造体の長さの違い,築造体の太さの違い,フェルールの形態の違い,前歯,臼歯の違いなどの検討を行い,実際の抜去歯牙を用いる前のより精密で具体的な研究のデザインを行った。 以上のことから得られたデータを総合して支台築造を行うための材料の検討および理想的な形態を検討した。破折の動的挙動の結果について,支台築造された材料によって起こっているのならば,材料の種類や形態を検討することで改善することができると考えられる。上記項目について検討することで,支台築造と歯根破折の動的挙動に関する一定の知見が得ることができた。
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