研究概要 |
本年度はバイオインテリジェント人工骨の製作を行った.細胞実験にはディスク状,動物実験には多孔性円柱状の形状を準備することとなった.製作過程は(1)各形状のアパタイト担体を製作(2)アパタイト担体に分極処理(3)分極処理された担体にポリリン酸吸着処理,以上3ステップで行った. (1)アパタイト担体の製作では多孔性円柱状アパタイトは通法に従い,材料性質として気孔率75%,平均気孔径150μmで各気孔冠は連通孔により連なった連通多孔性構造を付与した.細胞実験で用いるディスク状は表面性状が多孔性担体と同様になるよう焼結させ非研磨とすることで製作した. (2)分極処理は次の作業により行った.各アパタイトに白金膜の電極を設置して後,300℃まで昇温し600Vの電圧を1時間印加した.これによりアパタイト表面に正電荷および負電荷の面を付与した.確認試験である熱刺激脱分極電流を行ったところ,分極処理されたアパタイト担体に電荷が付与されていることを確認した. (3)ポリリン酸の吸着は,各分極担体をポリリン酸溶液に浸漬し遠心分離させ行った. これらにより,分極処理によりポリリン酸のアパタイトへの結合能を高めたバイオインテリジェント人工骨の製作を行った. これらの材料試験として,ポリリン酸の吸着状態および溶出状態の動態を観察し,分極処理によるポリリン酸の結合における影響を検討した.ディスク状アパタイトの開発に時間を要したため本年度は以上の成果となった,来年度には細胞実験および動物実験を行い骨形成におけるバイオインテリジェント人工骨の有効性を評価する.
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