本研究では、インプラント埋入後に骨粗鬆症が発症した場合のインプラント周囲骨の挙動と、骨粗鬆症の治療も含めた対策法について検討することを目的としている。 本年度は、本研究の着眼点となった骨粗鬆症発症によるインプラント周囲骨の変化の観察を行った。本実験の具体的な結果を以下に示す。 (1)実験動物(ラット)へのインプラント埋入とオッセオインテグレーションの獲得 ラット脛骨にチタン製のインプラントを埋入し、オッセオインテグレーションの獲得を待ったのちに、そのオッセオインテグレーションの評価(組織標本による観察)を2週、4週、8週、12週で観察を行った。この結果、2週から4週まででは骨接触率が増加する傾向にあるものの、8週以降になると顕著な骨接触率の増加は認められなかった。これにより、8週以降の顕著な変化は認められないと考えられた。 (2)卵巣摘出(OVX)による骨粗鬆症モデルの作製 インプラントを埋入した実験動物をOVXにより骨粗鬆症を発症させた。埋入後、約12週でOVXを行い、骨粗鬆症モデルの作製までにさらに12週の待機期間を設定した。その後、標本作製を行い、Shamをコントロール群とした埋入後24週のラットとOVXの実験群で標本を作製し、観察を行った。両軍の比較を行うと、OVX群では骨接触率は減少傾向にあったが、現在、実験群を増加させているところである。また、骨粗鬆症モデルであるという裏付けのためには、体重の計測と現在、血清を回収し、その血清マーカーとして骨形成マーカーのオステオカルシン、骨吸収マーカーの酒石酸抵抗性酸フォスファターゼの計測を行う予定である。
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