研究課題/領域番号 |
22791893
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森山 泰子 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (50452769)
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キーワード | 骨細胞 / メカニカルストレス / インプラント / マイクロクラック |
研究概要 |
本研究は、骨に対するメカニカルストレスの受容機構と骨裏モデリング現象を骨細胞に着目して詳細に解明することを目的としている。 in vitroの解析として、歯槽骨に埋入されたインプラントの実験モデルを確立すること、またインプラントにかかる微小振動の力学的刺激に対する骨細胞の応答を検討した。インプラント周囲環境を模擬した三次元ゲルにMLO-Y4細胞を培養し微小振動を与えると、振動群が非振動群と比較してM-CSFとRANKLの発現が上昇する可能性が示唆された。しかし、ゲルに培養するとその後周囲組織の検討が困難なため、インプラント周囲組織を模擬した実験系の次段階として、生分解性ポリマーにインプラントを埋入する形に変更し、分解性ポリマーの中でも細胞培養に最適な接触角をもったPLAに細胞培養することとした。PLA内の三次元培養によるMLO-Y4細胞の生存率をCalcein AMとPIの二重染色により確認したところ、インプラント周囲(培養部の中心部)の生存率が低いことがわかった。また、PLA三次元モデルで微小振動を与えた後培養液上清を検討したところM-CSFの発現が上昇したが、RANKLにおいて有意差は認められなかった。今後は、培養液上澄みでBonemarrowを培養することや振幅や刺激負荷時間をかえて刺激負荷実験を行っていく予定である。 invivoは、3種のインプラント(非荷重群、適正荷重群、過度荷重群)を4週齢のラット上顎臼歯(片顎)を抜歯した後に埋入し、1週間後、2週間後を観察した。骨ラベリングを時期によってラベリング剤を替えて行ったため経時的に骨量の変化を計測できると考えている。前年度より過度荷重群の咬合高径をやや低めに設定した。現在試料作成中であるが、インプラントの脱落ケースはなくなったので咬合の違いによる骨の変化が観察できると考えられる。 今後はin vivoとin vitroの結果を照らし合わせて、骨と応力の関連が解明できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroの研究モデルに関しては、3次元培養モデルの確立が困難であり(培養中心部の培養細胞の生細胞の割合が少ないことが問題となっているので、現在培養液や生分解性ポリマーの再検討を行っている)、現在も検討中であるが、その他の条件は決定しているので研究進度はおおむね順調であるといえる。 in vivoはインプラントの咬合高径を変更し、経過は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
一部工学部とも連携し知識を共有することで、より迅速なinvitroの3次元培養モデルを確立しできているので、今後も引き続き継続してより適正なモデルを作製し、検討を行っていけると考える。 in vivoに関しては、非脱灰研磨標本の作成技術は当研究室で確立されているので、問題なく進行できる。また、新しく取り入れる染色法についても手技は当研究室で問題なく行えるもので計画をたてているので順調に進行できると考える。
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