研究概要 |
顎口腔の外傷の予防・軽減を目的以外に,ウエイトトレーニング(レジスタンストレーニング)においてマウスガードを好んで使用しているアスリートが多くみられる。しかしながら,その好まれる理由は明らかにされていない.そこで,平成22年度はヒトの主観的噛みしめ強さを定量的に評価することによって,顎口腔系の制御の一端を明らかにするため,噛みしめ強さの指標を筋電図ならびにVAS評価により検討を行った。被験者は健常有歯顎者,および総義歯装着者とした。被験筋は左右側頭筋前部,左右咬筋浅層中央部とし筋電図はマルチテレメータシステム(WEB-5000,日本光電社)を使用して導出した。噛みしめ負荷は,被験者の随意的最大噛みしめを100%噛みしめ強さ(MVC)とし,被験者に委ねて主観にて強い噛みしめ,弱い噛みしめを行わせた。得られた筋電図から実効値(RMS値)を算出,100%MVCに対する相対比率を求めた。また,それぞれの噛みしめについてVASを用いて評価させた。結果,今回,強い噛みしめ・弱い噛みしめいずれにおいても,VAS評価では健常有歯顎者と総義歯装着者ではほぼ同じ噛みしめ意識を持つことが示唆された。しかしながら,実際の筋活動量では総義歯装着者では強い噛みしめは健常有歯顎者よりも低く,弱い噛みしめでは高くなることから,噛みしめ強さの制御において柔軟性が乏しくなることが伺え,噛みしめにおける制御の一端を示すとともに,今後の指標となることが示唆された。これらの内容を日本大学口腔科学会にて学会発表した。
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