研究概要 |
審美修復材料としてジルコニアが使用されるようになってきたが,ジルコニア自体の材料特性の理解は十分とは言えない.代表的なものにジルコニアと陶材とは化学的接着力が無い,もしくは少ないと考えられているが,そのメカニズムは不明である.本研究では,ジルコニアの材料的特性を理解する一貫としてジルコニア表面が作製されてからの経時的変化と,この現象により陶材との接着力が変化するかどうかの検証を行うことを目的とし,研究を行っている. ジリルコニア試料を用意し,表面を加工してからの時間経過を管理し,保管を行った.表面加工直後新鮮面から表面加工後4週間経過後までの間,表面形状,表面性状に違いが生ずるか検討を行ったところ,表面粗さは,時間が経過しても有意な変化は認められなかったが.表面の濡れ性および表面元素の構成には変化が認められた.表面の濡れ性は,加工直後の新鮮面では,超親水性を示したのに対し,加工後3日を経過した時点から疎水性傾向となり,時間とともに疎水性へとした.これに伴い,表面の元素分析を行ったところ.炭素の付着増加が観察された. これらの表面に陶材を築盛し,破断試験を行ったところ,表面加工後4週経過した面上での陶材の接着力は,表面加工直後に築盛した接着力と比較し,有意な減少を示すことが確認された.ジルコニアと陶材との接着力は,ジルコニア表面加工後の時間経過と負の相関を持つことが確認された. また,ジルコニアとセメントとの接着力も同様の傾向を示し,表面加工後時間経過とともに接着力は減少することが確認された.
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