研究概要 |
ジルコニア材料の使用は,審美修復治療に用いられる材料の一つとなってきた.現在まで,材料の機械的強度や適合性などの検討が行われているが,ジルコニア自体の材料特性の理解は十分とは言えない.代表的なものにジルコニアと陶材とは化学的接着力が無い,もしくは少ないと考えられている.本研究は,ジルコニアの材料的特性を理解する一貫として,ジルコニア表面が作製されてからの経時的変化と,この現象により陶材との接着力が変化するかどうか検証を行うことを目的とした. 我々は,ジルコニアの表面が作製直後から時間依存的に疎水性になっていることを確認した.さらに表面の時間依存的な濡れ性の変化に対し,陶材との接着力は減少していることを確認した. ジルコニアを化学周期表から見てみると,同族にはチタンが存在しているため,化学的性質がチタンと似ていると言われている。チタンは,光触媒効果を有する材料と知られているためジルコニアにも同様の効果があると我々は推測している.ジルコニア表面は,通常疎水性傾向を示すが,表面に紫外線を照射した場合、親水性に変化させることが出来,少なからず光触媒様効果が認められるとの報告がなされているこれより,時間依存的に疎水性に変化したジルコニア表面を紫外線領域の光を照射することにより表面の改質を行うことができるかどうか検証を行うことを目的とした. 疎水性になったジルコニアに対し紫外線領域の光を照射することで,疎水性表面を超親水性に回復させることができ,さらに陶材との接着力の増加につながった,これよりジルコニアと陶材の接着力増加の手段として紫外線領域の光の照射が有効であることが示唆された.
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