遅延型吸収性ナノゲルクロスリンキングメンブレンの開発にあたり、最適な架橋密度構造を考慮することが大切である。初年度としては最適な架橋密度(メンブレンの分解速度)を検討した。東京医科歯科大学動物実験倫理委員会の承認を得た後、Wistar系雄性ラット(16w)を使用した。ラット頭蓋骨頭頂部に左右対称に生理食塩水注水下で、直径5mmのトレフィンバーで骨欠損を作製し、コントロール(未処置)群、コラーゲンメンブレン群、ナノゲルメンブレン群の3グループに分け処置を行った。ナノゲルメンブレンの作製方法は親水性多糖であるプルランに疎水性基であるコレステロール基を部分的に置換したコレステリル基置換プルランと架橋剤(PEG-SH)と混ぜた後、パラフィルムの上に落とし、上からパラフィルムでコートされたガラス板で圧力をかけ、直径6mm厚さ0.4mmのメンブレン状にした。作成後24時間以内に動物実験で使用した。また、コラーゲンメンブレンとしてコーケンテッシュガイド[○!R]を使用した。観察期間は4週間とし、放射線学解析(μCT撮影による画像および新生骨体積量の計測)にて評価した。また、one-way ANOVA Tukey post hoc multiple comparison testsを行い、統計学的に比較検討した。 ナノゲルメンブレンの架橋密度は細胞の大きさより小さい20nmとした。放射線学的解析の結果、ナノゲルメンブレン群が有意に他の群より新生骨体積量の増加が認められ、新規遅延型吸収性ナノゲルメンブレンはGBR用メンブレンとして有効である可能性が示唆された。
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