歯根膜由来線維芽細胞様(以下PDL)細胞が血管内皮細胞(EC)に分化するだけでなく、ヘマンジオブラスト様に造血性幹細胞への分化能力を有することを明らかにする。さらには、c-kit/SCF系で誘導された造血性幹細胞から各血球性細胞に分化することを確認し、この細胞の造血性幹細胞としての能力を検証する。さらに、このPDL細胞がECあるいは血球性細胞に分化する際に、これらの分化の方向付けをするキー遺伝子を同定し、PDL細胞からのECあるいは造血性幹細胞への分化を自在に操作する技術を確立する。その結果、これらの細胞の相互作用による血管新生誘導により、局所の組織再生に必須な血液循環を改善する医療技術が確立する。加えて、本技術で分化誘導されたPDL由来造血性幹細胞が、周囲の骨芽細胞の増殖・分化をポジティブに制御して骨形成誘導に働くことを明らかにする。以上の研究により、PDL由来ヘマンジオブラストを利用した全く新たな歯周組織再生療法開発のための研究基盤を築きたい。 平成22年度進行状況: PCR法にてc-kit遺伝子全長をクローニングし、全塩基配列を確認後、発現プラスミドにサブクローニングし、c-kit発現ベクターを構築を行った。そして、構築したc-kit発現ベクターをPDL細胞に導入し、c-kit/SCF系シグナルを増強させることでPDL細胞のヘマンジオブラスト様造血性幹細胞分化能力の誘導を図り、この造血性幹細胞様能力の発現を誘導するキー遺伝子をモデル遺伝子としてピックアップするべく現在実験を遂行中である。
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