研究課題/領域番号 |
22791936
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
高橋 典子 岩手医科大学, 歯学部, 研究員 (60405777)
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キーワード | 歯周組織再生 |
研究概要 |
本研究では歯根膜由来線維芽細胞様(以下PDL)由来ヘマンジオブラスト様細胞を血管内皮細胞と造血性幹細胞に自在に分化誘導し、これらの細胞の共同作業で初めて可能となる局所の効率的な血管新生の誘導技術を開発する。また、本研究開発によりPDL細胞から分化誘導された造血性幹細胞は、周囲の骨芽細胞(以下OB)の増殖・分化を促進させることが期待される細胞であり、このOB増殖.分化誘導効果と先の血管新生誘導効果を相乗的に応用した全く新たな着想に基づく次世代の歯周組織再生技術を開発する。 平成23年度はGDNAマイクロアレイをはじめとした様々な解析によって明らかになった造血性幹細胞としての能力の発現を誘導するモデル遺伝子の検索を中心に実施した。本年度内に得られた結果と、平成22年度に実施したPDL細胞の造血性幹細胞能力の検索結果とを併せて、造血性幹細胞分化誘導モデル遺伝子の絞込みを行った。得られた遺伝子の中から、造血性幹細胞分化誘導遺伝子の候補としていくつかの遺伝子をピックアップし、各遺伝子の過剰発現ベクターを構築した。現在、PDL細胞に遺伝子導入して過剰発現させた際に、造血幹細胞マーカーであるCD34やScar1の発現を上昇させるかを解析している。加えて、各遺伝子に相当するsiRNAをPDL細胞に導入して、造血幹細胞マーカーの発現が抑制されることも確認している。さらには、これらの研究成果により特定された造血性幹細胞誘導遺伝子を導入されたPDL細胞が、真の造血能力を示すことを、放射線処置により骨髄細胞が死滅したマウス骨髄内に移植することにより検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成22年度から23年度にかけて造血性幹細胞分化誘導モデル遺伝子の絞込みの解析に時間を要した。主としてGDNAマイクロアレイの結果を中心に網羅的な解析結果から遺伝子をピックアップしたが、東日本大震災の影響もあり、予定通りのスケジュールで解析を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子のピックアップが完了したので、今後の研究は研究計画に従って予定通りに実施する。研究に若干の遅れが生じているが、遅れを取り戻すために遺伝子の過剰発現法を改善する。具体的にはプラスミドベクターをエレクトロポレーションなどで導入予定であったが、今後はアデノウィルスベクターを利用した導入法に変更する。この変更によって細胞への遺伝子導入条件の検討が必要なくなり、さらには遺伝子の発現効率も飛躍的に向上することが期待されるウィルスベクターの作製は研究協力者指導のもと、すでに着手している。
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