平成22年度はがん細胞腫の入手と増殖、生体内でのアジュバントの薬剤効果判定、抗腫瘍剤の効果判定を行った。初めに、マウスに投与する二種類のがん細胞腫を入手した。一つはB16 melanoma(マウス悪性黒色腫細胞株)で研究資源バンクより購入した。もう一つはSCCVII(マウス扁平上皮癌細胞株)で、放射線医学研究所ゲノム診断研究グループより分与頂いた。それぞれのがん細胞腫を培養液中で増殖させた。増殖方法はそれぞれのプロトコールに従って行った。約50匹投与分のストックを作成し、凍結保存状態にある。マウスへの投与、生着についてはまだ確認できていない。また、抗腫瘍アジュバントとして使用する予定であるCpGを、SIGMA社より購入しマウスに投与した。その結果、未投与群と比較して投与群では、投与後3日目に全個体において脾腫がみられ、血清中からはIL-6、TNF-aがELISAにて検出されていた。以上から、CpG投与による生体内での賦活効果を確認することができた。さらに、抗腫瘍剤である5-FUをマウスに単独投与し、その効果判定を行った。投与後7日目の全個体において、大腿骨のHE染色、末梢血の血算値を検討したところ著明な骨髄細胞の減少を認めた。すなわち、組織像では細胞数の著しい減少がみられ、血算では白血球と血小板の減少がみられた。赤血球系統は減少していなかった。また、投与後14日目にはHE染色と血算において、骨髄細胞の増殖、回復が確認された。以上から、5-FU投与による骨髄抑制が誘導されていることが確認できた。投与後14日目には、骨髄抑制から回復してくる細胞群について、Flow Cytometryで確認した。その結果、遠隔転移部で多く観察されるmyeloid系CD11 b+Gr-1+細胞腫が、骨髄中で著明に増加しているのが観察された。
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