研究概要 |
骨分化能の高い歯由来間葉系細胞(MSC)を単離・同定し、患者の骨再生を促進することを目的に,成人歯組織由来の根完成歯の歯髄組織と根尖組織からAldehyde dehydrogenase(ALDH)活性を指標として増殖能および分化能の高いMSCを単離し,その機能解析を行った。 平成22年度は,インフォームドコンセントを行い同意の得られた20症例より,智歯歯髄組織と根尖組織由来細胞に対してALDH活性を指標にして細胞を分離・培養した。増殖および継代可能であった細胞について,それぞれの細胞増殖能・骨分化能をin vitro分化法とマウス骨折モデルで解析を行った。しかし、ALDH活性の高い細胞群とALDH活性の陰性の細胞群との間において,有意な差が認められなかった。 現在,細胞増殖能・骨分化能に優れた「根尖組織由来細胞」の指標となる表面マーカーについて,FACSおよびPCR法等を用いて解析を行っている。また、智歯歯髄由来細胞に対して年齢に応じて分類し(10代、20代、30代)、それぞれの細胞についてin vitro分化能を解析している。 以上の解析により,将来,歯由来間葉系幹細胞を用いた細胞治療を行う際に,基盤となる知見を得ることができることから,大変意義ある研究であると思われる。
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