【目的】顎顔面領域において治療が困難と考えられている神経障害、特に末梢神経障害に対する新しい神経再生の治療開発を目指すことを目的とした。そこで申請者は、まず基礎的な分子生物学的解析が必須であると考え、脳特異的に全てのmicroRNAの発現を抑制させたDicer遺伝子操作マウス(DicerCKO)の神経幹細胞を用いて、顎顔面領域における神経損傷・障害と関連する遺伝子の同定を行い、将来的には、末梢神経再生の治療に結びつける。 【結果】神経幹細胞におけるmiRNAの分子メカニズムを解明するために、平成23年度までにニューロスフェアからタンパク質を抽出し、プロテオミクス解析を行い野性型とDicerCKOマウスのたんぱく質の発現レベルの差異をスクリーニングし、2900以上のタンパク質を同定した。その中でも、特に有意な差を認めたのは、細胞の生命を制御するタンパク質がDicerCKOマウスにおいて発現が有意に減少していた。特に、fragile X mental retardation protein1(FMR1)におけるシグナル伝達に関与していることがわかった。さらに解析を進め、神経損傷・障害に関わるたんぱく質のデータ解析を行い、PCR法およびウェスタンブロッティング法にて現在検討している。
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