研究課題/領域番号 |
22791958
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
脇田 亮 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (60376712)
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キーワード | イオントフォレーシス / 交流 / マイクロダイアリシス / 無痛 / リドカイン / 局所麻酔 |
研究概要 |
イオントフォレーシス(IOP)は現在ペインクリニック領域などでも応用されている。一般には直流が用いられるが、大量・長時間の通電は熱傷や疼痛などにより制限されている。そこで我々は交流を用いた薬剤のIOP(AC-IOP)を検討してきた。リドカインと平行平板型アクリル製電極を使用した前年度研究より、pHや温度の上昇などの問題を回避するためには。平均電圧が陽性の交流正弦波が有効と考えられた。本研究でin vitroでの変動電場の有効性が明らかとなったため、in vivoでの薬剤の浸透に関して検討した。 方法は、ヘアレスラットの背部皮膚にマイクロダイアリシスプローブを埋め込んだ後、薬剤担持を測定することで、材として不織布を用いた電極を貼付した。種種の電場を印加し、経時的にプローブで回収した浸透薬剤量を定量した。使用薬剤は1%リドカイン水溶液、印加した波形は交流矩形波・交流正弦波・直流波とし平均電圧が等しくなるよう。電圧を設定した、通電時間は120分とし、その間連続的に還流液を回収した。長時間通電によるリドカインの送達は交流が優れていると考えられた。 この条件を基に、同様の方法で抗生物質の投与効率を検討中である。またラット局所感染モデルを用いて感染組織における浸透効率、更に有効性の検討のための評価法を検索している。一方今回薬剤担持材として不織布が用いられたが、生体への適合性密着性の向上と有害事象発症低下を目的として、東京工業大学と共同で薬剤担持型アルギン酸電極を試作し臨床応用に対し作製中である。この電極は金属である電極とアルギン酸が化学的に結合しており既存の電極と比べ高効率な薬剤送達が期待される。これらに関しても昨年度に引き続き最適条件を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画を改変し、骨近傍ではなく皮下を標的とし、薬剤動態検討のための予備研究として過去に導入経験のある局所麻酔薬を用いることで良好な結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年に得られた条件を基に、抗生物質の局所動態に及ぼす変動電場の影響を検索し、至適条件および感染モデルに対する効果に関しても検討を行う。
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