研究概要 |
口腔がんの化学療法の奏効性やリンパ節転移を治療開始前に正確に予測できれば、口腔がん医療のオーダーメイド化が可能になり、最終的には口腔がんの治療成績と患者のQOLの向上をもたらすことが期待される。今回計画する研究は詳細な臨床病理情報が付随しているアーカイブの口腔がんのホルマリン固定パラフィン包埋組織を用いてプロテオーム解析を行い、口腔がんのリンパ節転移、化学療法奏効性、患者の予後が予測できる新規バイオマーカーを見出すことを目的としている。 東京医科歯科大学において試料採取、匿名化、個人情報管理、検体保存を行った。試料採取に関しては、すでに東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会において研究のための試料採取が承認されている。 試料は、(放射線)化学療法治療効果が著効、有効の群と、効果なしの群に分けて抽出し、保管・タンパク質抽出・解析に使用した。21症例のFFPE組織からタンパク質抽出を行った。各FFPE組織検体につき、癌細胞をマイクロダイセクトし、タンパク質をデオキシコレートを含むバッファーでペプチドとして抽出し、液体クロマトグラフィはNaniFrontier nLC、質量分析装置は、AB SCIEX Triple TOF 5600 Systemを用いて各検体2回ずつ測定しペプチドピークのデータを得た。検出ピークは多数検体のペプチドピークの定量解析が可能な2DICALを用い、総ピーク数は42,677ピークであった。統計学的解析を行い化学療法奏功群と、非奏功群で有意差のあるピークを約198ピーク選出し、そのうち同定可能だった32ピークについて、検討したが、Histonが多く認められたため、ペプチド抽出の処理を変更して行い、現在は、再度質量分析装置で測定を行っている。
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