研究概要 |
I.2次元培養におけるゾレドロネート(ZA、ビスフォスフォネート(BP)製剤)の影響 1.培地にZAを添加した培養口腔粘膜上皮細胞は、BrdU法と生細胞数測定法で濃度依存的にcell proliferationを抑制することが観察された。 2.細胞周期とアポトーシス解析をフローサイトメーターで行い、細胞周期がS期で停止することが確認された。また、細胞周期関連タンパク質(phospho-Chk1, phospho-Chk2, cyclinA, cyclinB1, p27KIP1, Rb, phospho-Rb)の発現についてウェスタンブロット法により検討し、発現の経時的な減少あるいは消失と一致した。アポトーシスの発現は認められなかった。 3.ZAを添加した細胞にプロテアソーム阻害剤であるMG132を添加したところ、前述の細胞周期調節タンパク質の発現の回復が確認された。 II.3次元培養(三次元培養複合口腔粘膜;EVPOME)におけるZAの影響 足場であるAlloDerm[○!R]上に上皮細胞を播種し、液相培養、液相気相培養を行い、11日目から培地にZAを添加。18日目にEVPOMEをホルマリン固定。切片作製後、Geminin、phospho-H2A.X免疫染色を行った。結果、ZA未添加に比べ、ZA添加EVPOMEは、基底層細胞において両抗体に対する免疫陽性細胞が有意に増加した。またウェスタンブロット法ではZA添加によりphospho-Chk1の発現が48時間以内に確認された。 III.まとめ ZAにより口腔粘膜上皮細胞にDNA損傷が起こることで、ユビキチンプロテアソームシステムが活性化され、細胞周期関連タンパク質分解によって細胞周期がS期に停止した。この結果、口腔粘膜上皮細胞の増殖に抑制が起こるために創傷治癒が阻害され、顎骨壊死の病因に軟組織創傷治癒機転の関与が示唆された。
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