本研究は、現在乳癌にて応用されているcytokeratin-19(CK-19)を標的遺伝子として検討することから開始した。実際の転移リンパ節を用いたOSNA法によりその目的遺伝子の増幅度(コピー数)と転移巣の大きさを比較検討することにより、口腔扁平上皮癌におけるOSNA法での診断基準を確立することを第一の目標とした。結果、対象リンパ節33症例91個に対して感度78.9%(15/19)、特異度98.6%(71/72)であり、正診率94.5%(86/91)であった。 これらの結果より口腔扁平上皮癌における転移診断マーカーとしてはCK-19のみでは不十分であり、新規マーカーの探索が必要であることが示された。 また、口腔癌におけるリンパ節転移新規標的分子の探索として担癌患者の転移リンパ節および非転移リンパ節、非担癌患者の頸部リンパ節より抽出したtotal RNAを用いてマイクロアレイ解析を行い新規マーカーの同定を2種類行った。本マーカーは「頸部リンパ節転移分析方法及び頭頸部癌の腫瘍マーカー(特願2009-292611、出願日2009年12月24日)」、および「頸部リンパ節転移分析方法及び頭頸部癌の腫瘍マーカー(国際出願番号PCT/JP2010/073129、出願日2010年12月22日)」として申請中である。また、これらのマーカーに対するOSNA primerを現在作製中である。今後、CK-19および新規プライマーによる感度、特異度等を検討し臨床応用に向けて研究を進める予定である。
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