研究概要 |
当院臨床研究倫理審査委員会承認後(愛大医病倫0701008号)、OSNA法を実際にセンチネルリンパ節生検に応用したところ、これまでの成果では、cytokeratin19(CK19)を標的とし、リンパ節312個の正診率95.2%,と良好な結果を得ている(Oral Oncology 2012 inpress)。しかしながら、口腔扁平上皮癌においてはCK19遺伝子の低発現や発現を認めないものがあることがわかり、診断精度向上のために、マルチマーカーによる診断が必要であることも分かった。このことよりマイクロアレイ解析を用いて新たな診断マーカー候補Annexin A8-like 2(ANXA8L2), Desmoglein 3(DSG3)を同定した。現在、転移陽性リンパ節24個、転移陰性リンパ節174個にて解析を行い各markerの感度はCK19では87.5%、ANXA8L2では87.5%、DSG3では83.3%であり、CK19+ANXA8L2では95.8%、CK19+DSG3では95.8%、3個のmarkerを合わせると100%の結果が得られた。本結果にて転移診断マーカーはマルチマーカーにより確立されたため、今後は症例を蓄積しさらに有用性の検討を行う必要がある。さらには、術中迅速診断が可能となるよう、遺伝子増幅を12分以内に行うことが可能なOSNA法のprimer設計が必要となる。
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