研究概要 |
SOCS3はIL-6,IL-23シグナルを負に制御し,Th17への分化を制御している(2006,PNAS, Zhi Chen et al),さらにIL-6の主要な役割はiTregの誘導抑制であり,Foxp3が減ればRORγtの活性は上がり自然とTh17は増えることが示された.そこで,免疫制御および上皮細胞の分化増殖制御因子としてのSOCSについての解析を行った.われわれは口腔疾患での役割を解析した.口腔癌細胞株でSOCS3の発現機能解析を行った.また白板症、紅板症、扁平苔癬の臨床検体でSOCS発現量を検討した.現在病態の進行度と発現部位,量を検討中である.また腫瘍細胞株によって発現量に差が認められた.さらにSOCS3プラスミド作製し過剰発現させた.IL-23,IL-6刺激による細胞増殖は抑制された.また下流のシグナルの抑制が見られた.またRAW細胞にSOCS3を過剰発現させ炎症におけるSOCS3の働きをin vitroで検討した.SOCS3はIL6刺激を遮断し細胞の活性を抑制した.また,慢性炎症についてIL-23Rの発現を検討し,IL-23刺激によるサイトカイン産生を検討した.SOCS3過剰発現により炎症性サイトカイン産生が抑制された.更にそれらの疾患の病態形成の解明を目的に研究を行った.口腔粘膜疾患,前癌病変,癌の病態と新たなT細胞とその関与を究明しそれらの抑制分子による口腔粘膜疾患,前癌病変,癌の予防治療につなげる.同時にそれらの分子をデリバリーする方法を検討中である.デリバリー方法としては,マウスで用いたようなアデノウイルスなどのウイルスを用いるのではなく,口腔粘膜に塗布する方法で,局所からのデリバリーをsiRNAやナノペプチドを用いて検討中である.
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