本研究では自然免疫の破綻によって惹起されると想定される口腔粘膜疾患、口腔関連疾患の治療を行うための研究を、TLRを介した自然免疫の破綻と炎症性サイトカインによるSTATの活性化へのSOCSの関与について、とくにTLR4のネガチブレギュレータであるSOCS1およびIL6などのサイトカインシグナルのネガティブレギュレーターであるSOCS3についての機能解析を免疫学的・分子生物学的レベルで行った。舌癌細胞株を用いたIn vitroの解析ではTLR4シグナルの破綻、SOCS1の発現減少によるシグナルの増強による慢性炎症の関与が示唆された。また、Th17、Tregとサイトカインによる口腔粘膜疾患(白板症、扁平苔癬)の制御機構、病態形成のメカニズムを解明することを目的とし、 白板症から口腔癌、扁平苔癬、各口腔粘膜疾患におけるTh17、Tregに関連因子の検索を行った。 癌と比べると発現は少ないが、白板症ではIL6、TNFα、IL-23の発現亢進傾向が観察された。扁平苔癬ではIL-23の発現増傾向などにより慢性炎症の関与が示唆された。またTh17、Tregに関しては、それぞれRORγt、Foxp3の発現、更にT-bet、GATA3の発現をRT-PCR法で検討したが明らかな差は認められなかった。Th17の局在についても明らかな特徴はつかめなかった。今後症例数を増やした更なる検討が必要と考えられた。
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