研究概要 |
頭頸部癌に対する放射線・化学療法では、口内炎が必発する。これは治療により直接粘膜細胞のDNAが損傷を受ける他に、後天的な遺伝子発現の傷害、いわゆるエピジェネシスによるものと考えられる。このエピジェネシスの治療法としてピストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤が期待されている。本研究では、HDAC阻害剤の一つであるトリコスタチンAが放射線・化学療法誘発性口内炎の抑制に、どの程度効果を示すかを、無血清培地で培養した単層培養口腔粘膜上皮細胞上で調べる。 実験は7名の口腔外科外来小手術の被験者から口腔粘膜を採取し、初代培養を行った。結果は2継代まで可能な検体数は2名のみであり、他の5名の検体は初代培養時にバクテリアによる汚染を生じ、細胞を破棄した。現在培養系のプロトコルの見直しおよび、サンプル組織の前洗浄等の条件を再検討している。 培養可能なサンプルを用いて、CDDP投与後の細胞毒性試験を行った。CDDPは1μM,10μM,100μM,250μM,500μMの5条件で投与した。結果は100μM投与の群で細胞増殖の抑制が認められている。現在トリコスタチンAによるX線照射後の細胞障害抑制実験を実施中である。
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