研究概要 |
近年,手術は低侵襲化に向かっており,腹腔鏡手術を代表に一般的に行われている.口腔顎顔面外科領域にも内視鏡手術は導入されてきたが,その普及にはいまだ至っていない.その理由の一つとして,内視鏡システムが高価なことが挙げられる.ゆえに,歯科・口腔外科に内視鏡手術を普及させるためには内視鏡システムの低価格化とコンパクト化が必要である.本研究ではノートパソコンにUniversal serial bus(USB)接続可能なポータブル内視鏡システムを開発した.本内視鏡システムは安価でポータブルな物とするために,内視鏡システムの構成は内視鏡本体+USBケーブル+ノートパソコン(Windows)+画像ソフトウェアである.ソフトウェアは静止画取り込みと光量調整を可能とし,内視鏡本体は対物レンズ,イメージガイド,ライトガイド,保護用パイプで構成し,ハンドル部から取り外せるようにした.プロトタイプとして視野角0度の内視鏡を開発し,画質や動作環境を評価した.また,既成のファイバースコープである唾液腺内視鏡と画質を比較検討した.本内視鏡システムの画質は既存の唾液腺内視鏡と比較しても同程度であったが,CPUの消費量が多く最新のノートパソコン以外では動画が遅れることがあった.ノートパソコンをベースとしたUSB接続ポータブル内視鏡システムのプロトタイプを開発した.歯科・口腔外科手術用に本内視鏡システムを改良していくためには,ソフトウェアの改良や内視鏡の視野角をつける必要があるものの,今後クリアできる課題と思われた.
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