研究概要 |
破骨細胞より放出されるS1Pは,間葉系幹細胞の遊走,生存,骨分化を促進する一方で,RANKLを発現して骨吸収活性を促進するカップリング因子として作用すると思われる.このことはBPが骨吸収活性を抑制し,かつ骨形成能も抑制する作用を持つことから,S1P調節系への影響が示唆される.我々はこれまでBRONJのリスク因子に挙げられているコルチコステロイドや口腔感染を想定したLPSをBPと併用することでOPG,RANKLへの影響を検討してきたが,S1P機能との関わりついては未知である.そこで,仮にS1PがOPG/RANKLのバランスを制御できるとすれば,BRONJの予防・治療への応用の可能性が期待できるのではないかと考える.本研究の目的は,BRONJの病態解明を目指してこれまで進めてきた基礎研究を発展させてさらなる理解を深めることであり,S1Pに関する以下の疑問点を議題として,これを明らかにするために達成目標を立てた、すなわち議題として,破骨細胞の活性化促進によりS1Pが放出され,パラクライン作用で間葉系幹細胞が骨吸収領域へ動員するか.S1Pは動員された間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化も誘導するか.S1PはRANKL,OPGの血清濃度に影響するか.S1PはBPの作用に影響を及ぼすか. これに対する達成目標としては以下, 1.S1P受容体(既知の5種類)について間葉系幹細胞の発現を明らかにする. 2.S1P受容体のシグナル伝達経路を明らかにする. 3。S1Pが間葉系幹細胞のchemotaxis促進に作用するか否か明らかにする. 4。S1Pにより間葉系幹細胞が骨芽細胞に分化するか明らかにする. 5.S1PがRANKL,OPG発現にどのように影響するか明らかにする. 6.BP投与下でS1Pを処理することによって骨形成の抑制を回復するか明らかにする.
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今後の研究の推進方策 |
転出先である東京大学の機器等に関わる研究基盤は良好であるが,実験室や機器の使用にあたっての制限があり諸手続きを行っているところである.細胞培養関連実験の基盤は整いつつある.予定している動物実験は施設内の飼育条件の制限やスペース確保の関係で申請等を行っているところであり,使用許可が下り次第,遂行していく予定である,
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