研究概要 |
口唇裂・口蓋裂患者およびその両親を含めた120家系の血液採取を完了した。そして、古典的な方法で全検体のDNA抽出を完了した。また、候補遺伝子は、RYK、EPHB2、EPHB3とした。解析は、変異解析、SNPを使用した相関解析、TDTを行った。結果は変異解析では病態にかかわる変異は認められなかった。RYKに認められた5つのSNPの内の3つ(A287G,IVS12+13A>C,IVS13+63T>C)においてはcase-control studyとTDT検定を行った。この3つのSNPは、0.15以上のマイナーアレル頻度であった。また、それらはHardy-Weinberg平衡において、日本人で連鎖不平衡の状態にあった。しかも患者といかなるSNPとの間においてもp値が>0.1を示す有意な差は認められなかった。3つのRYK-SNP (snp1-snp4-snp5)から作られる7つのハプロタイプのうち、1つ(A-A-C)がcase-control studyでく5x10^<-4>と<2.59x10^<-6>のp値を認め、日本人のCL/PとCPOにおいて有意な値が得られた。しかし、ハプロタイプを使用したTDT検定では、有意な差は認められなかった。これらの結果は「RYK遺伝子変異は非症候性の口唇裂・口蓋裂発症における遺伝要因の一つである」として日本口蓋裂学会雑誌35巻9-17頁2010年論文を発表。また、RYK(3q22)、EPHB2(1p36.1-35)、EPHB3(3q28-27)、DLX3(17q23)、TBX10(11q13.1)、TGF-B3(14q24)、PAX9(14q12-q13)、CLPTM1(19q13.2)、PVRL1(11q23)、TBX22(Xq21.1)の計10遺伝子を対象に変異解析、case-control study、TDT(伝達不平衡テスト)を行った結果を平成22年5月27日28日に行われた日本口蓋裂学会総会・学術大会で発表した。
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