がん細胞(口腔扁平上皮癌細胞:SCCKN)をヌードマウスの背部皮下に注射しマウスに移植腫瘍を作成した。RT-PCRで作製したFasLのcDNAをpcDNA3.1D/V5-His-TOPOに組み込んでpFasLを作製した。次に、DellのcDNAから、アポトーシス誘導作用を有する第三EGFドメインと細胞外基質への沈着作用を有する第一discoidinドメインをコードする配列をPCRで増幅し、これをpFasLのFasLのC末端に組み込み、pFasL/pE3D1を作製した。ヌードマウスに移植した腫瘍にpFasLおよびpFasL/pE3D1を局所注射することにより遺伝子治療を行った。コントロールとしてpcDNA3.1Dを同様に移植腫瘍に直接局所注射を行った。その後、経時的に腫瘍の大きさとマウスの状態を観察・測定した。遺伝子治療を行ってから8日間にわたり観察を続けた。 その結果、pFasLあるいは、pFasL/pE3D1の遺伝子導入後3日で、移植腫瘍サイズに減少変化があることが明らかになった。また、pFasL/pE3D1の投与により投与後8日目に移植腫瘍サイズに減少変化が認めれた。これらの結果により、ヌードマウスの移植腫瘍に対しpFasL/pE3D1を投与すると二段階の腫瘍減少効果があることが確認された。今後は、腫瘍の減少効果がどのような作用によるものかを検討し、pFasL/pE3D1の投与による変化を検討していく予定である。
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