がん細胞(口腔扁平上皮癌細胞:SCCKN)をヌードマウスの背部皮下に注射しマウスに移植腫瘍を作成した。RT-PCRで作製したFasLのcDNAをpcDNA3.1D/V5-His-TOPOに組み込んでpFasLを作製した。次に、DellのcDNAから、アポトーシス誘導作用を有する第三EGFドメインと細胞外基質への沈着作用を有する第一discoidinドメインをコードする配列をPCRで増幅し、これをpFasLのFasLのC末端に組み込み、pFasL/pE3D1を作製した。移植腫瘍に対してpFasLおよびpFasL/pE3D1を用いて遺伝子治療を行った。コントロールとしてpcDNA3.1Dを同様に遺伝子導入した。投与経路として、腫瘍に直接局所注射を行った。その後、経時的に腫瘍の大きさとマウスの状態を観察・測定した。腫瘍に対する治療は7日毎に腫瘍に直接局所注射を行った。 観察により、コントロールあるいは、pFasLの遺伝子導入を繰り返し行ったマウスは治療開始49日後に全て死亡した。また、pFasL/pE3D1で治療したマウスは、治療開始49日後の生存率は87%であった。これらの結果により、ヌードマウスの移植腫瘍に対しpFasL/pE3D1を投与すると腫瘍の増殖を抑制して延命効果があることが確認された。今後は、pFasL/pE3D1の副作用がどのような時にどのように発現するかを検討し、pFasL/pE3D1の有効濃度を検討していく予定である。
|