研究概要 |
Tetraspanin superfamilyの一つである癌転移抑制因子CD82がc-Metと複合体を形成し、c-Metアダプター蛋白質の結合を阻害することにより癌細胞の遊走を抑制することが明らかにされている。一方、上皮細胞接着因子E-カドヘリンは細胞内でβおよびγ-カテニンと結合し、α-カテニンおよびα-アクチニン分子を介してアクチン細胞骨格と結合し、強い細胞間結合を形成することが明らかになっている。また、E-カドヘリンの細胞質内領域にp120が結合することにより、E-カドヘリンの機能を制御している。これらのことから、E-カドヘリンは細胞間接着のみならず、細胞運動にも深く関与しているのではないかと考えられる。また、E-カドヘリンの裏打ちタンパク質であるβ-カテニンのリン酸化の亢進がE-カドヘリンの細胞間接着機能を低下させると言われている。そこで、HGF刺激によるβ-カテニンのリン酸化状態およびリン酸化部位について解析するために、CD82低発現細胞株h1299にCD82を遺伝子導入したh1229/CD82 transfectantとMOCKを用いた。継代培養12時間後に0.3%BSA含有の培養液(血清非含有)で12時間培養した後、1分、2分、5分、10分、30分、60分間 50ng/ml HGFで刺激し、それぞれの細胞溶解液を作成した。この細胞溶解液を用いて、特異的抗リン酸化抗体(phospho-β-catenin(Ser33/37/Thr41, Thr41/Ser45, Ser552, Ser675)によりそれぞれウエスタンブロットで解析したが、明かなバンドは検出できなかった。
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