本年度は、研究計画の初年度であり、口蓋形成期の形態観察とイノシトールの予防効果の実験を実施した。まず口蓋形態の観察目的に、マウスの繁殖、胎仔の取り出しを中心に実施した。口蓋裂が発生しないとされているICR系のマウスでは、通常の口蓋形成を観察するために、口蓋形成期のGD7dから10dの胎仔をとりだし、ホルマリンにて固定した。口蓋裂発生系モデルとしては、AJ系マウスを使用した。一般にAJ系マウスの口蓋裂発生頻度は7-12%程度と報告されているが、本施設においてはもう少し頻度が高いと予想されている。AJ系マウスの口蓋形成期はICR系よりやや遅いため、GD8dから12dの胎仔を取り出し、ホルマリン固定した。一方、イノシトールの予防効果については、AJ系のマウスを使用して行った。イノシトールを注射用水に溶解し、口蓋形成期(GD8-10d)に1日1回腹腔内注射にて投与した。得られた雌マウスは出産直前のGD16dに胎児を取り出し、口蓋裂の有無を観察した。これまでに口蓋裂発生抑制効果は認められるものの、今後、実験数を増やすことでより正確なデータを蓄積したい。
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