口唇閉鎖不全を伴う、上下顎骨の前後的・垂直的位置関係の不調和が著しい不正咬合においては、矯正歯科治療単独での咬合の改善や顔貌の調和を図ることが困難である。このような場合に併用される筋機能療法のエビデンスには不明な点が多い。そこで、申請者は、「口唇閉鎖不全患者における口輪筋収縮訓練に伴う口唇圧、口唇血流量および口輪筋筋活動の経時的変化における相互関連を探り、顎態および歯列に与える影響を解明する」ことを本研究の具体的な目的として行った。結果、健常者と口唇閉鎖不全患者の筋活動量および血流量において異なるメカニズムが示唆され、これは今まで不明な点が多かった口唇不全患者に対して筋機能療法の有効性を示す一つの指標になりえることが考えられた。また、成長期に顕著に発現する口唇閉鎖不全に対する予防法を機能的な面から確立する基盤となることが考えられた。 現在(平成25年度)までに国内外5つの学会(国内3回、国外2回)にその研究成果を発表し、うち2回の優秀ポスター賞を受賞した。 今後もこれらの結果をふまえ、口唇閉鎖不全に対するメカニズムを解明していく予定である。
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