本研究は新生児である唇顎口蓋裂児に極力負担をかけずにその顔面と口蓋の三次元データを非浸襲的に非接触型三次元形状測定装置により測定し、これらをコンピューター上で統合して作成した三次元統合データを基にしてコンピューター上でPNAMを設計(CAD)し、この設計データを三次元造型機に出力することでPNAMを可及的速やかに三次元形態出力装置にて作成する(CAM)ことを目的としている。 そのため、非接触型三次元形状測定装置(テクノアーツ、GRASP)のハードウェアを一部更新し口唇口蓋裂児の三次元データを同時多面測定することで高速度測定を可能とし、得られた三次元測定データを基にPNAMのCAD化を行うこととした。 体動のコントロールが困難な新生児が測定対象として想定される為に、非侵襲的かつ高速度な測定を目的として従来の非接触型三次元形状測定装置(テクノアーツ、GRASP)のステッピングモーターを改修することで計測時間の短縮化を行った。また、従来の間接法を用いて入力した口蓋の三次元データを基に三次元形態出力装置への出力を行うことでCAD/CAMによるPNAM作成を行う上での問題点抽出を行った。 当初検討された点群データに接する球集合体方式での解析では球面の異なりによる距離の補正演算をで演算処理量が膨大化してしまうことから、PNAM床部の粘膜面と健常乳児を模した口腔面を別個に作成し統合することでCAM化する方式を検討しCAD化を行うことで、PN烈床部のCAD/CAM化は試作段階まで到達することができた。 しかし、顔面の三次元データを床部三次元データと統合しうる段階には3月末現在至らず、PNAM全体の形態をCAD化する方法の確立は今後の課題として残った。
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