鼻口蓋管は、口蓋形成時に口蓋突起の癒合不全によって取り残される間隙であり、神経や血管が通る部位や上皮の残遺として哺乳類に認められる器官であるが、その発生および形成や、鼻口蓋管を形成する上皮の由来や分化に関してはほとんど報告がない器官である。 今回の研究では、マウスにおける鼻口蓋管の成り立ちについて確認するため、コントロールマウスの組織切片を作成し、胎生期から出生後まで、構成細胞の形態変化を観察し、構成細胞が変化していく様子を確認した。また、オートファジーの鼻口蓋管における役割について解明するため、オートファジーのトランスジェニックマウスであるGFP-LC3マウスの鼻口蓋管形成時の発現およびオートファジーの機能を欠失させたAtg5ノックアウトマウスにおける鼻口蓋管の形態変化を確認した。これらの結果から鼻口蓋管部にてオートファジーが特異的に発現していることがわかり、鼻口蓋管形成にオートファジーが関連することが示唆された。 また、Genechip解析を行うことで、鼻口蓋管形成時に経時的に認められる遺伝子の発現およびその発現量の変化、鼻口蓋管形成時のコントロールマウスとノックアウトマウスにおける遺伝子発現の相違を確認することでオートファジーが鼻口蓋管形成時に関わる因子を特定した。 これらの実験を行うことで、鼻口蓋管の形成におけるオートファジーの関わりが分かるが、これらを応用することで鼻口蓋管が形成の一部をなす口蓋におけるオートファジーの役割を解明出来ると考えられる。それらの結果を応用することで、唇顎口蓋裂の原因解明に繋がると考えられ、意義のある研究と言える。Q
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