生体は、常に外界から様々なメカニカルストレスを受けている。特に骨組織は、メカニカルストレスに応答して骨量の維持および再構築がたえず行われている。そしてその代謝調節は、骨表面に存在する骨芽細胞と破骨細胞および骨深部に存在する骨細胞の協調的かつ連鎖的な情報伝達により起こると考えられている。しかし、周囲を堅い骨基質に覆われている細胞の特性上、骨組織中での動態の解明は国内外で未だ実現に至っていない。研究者らは本研究で生きた骨組織を用い、その中に存在する骨系細胞によって営まれるメカニカルストレスへの応答をリアルタイムで解析し、さらに応答細胞がどのように周囲の細胞へ情報を伝えているのかを解明することを目的としている。これまでの研究結果から、1.定常状態で骨芽細胞および骨細胞に自律性カルシウムオシレーションを認めた。2.骨細胞の自律性カルシウムオシレーションはギャップ結合による調節を受けた。3.骨芽細胞の自律性カルシウムオシレーションはギャップ結合による影響を受けなかった。4.本実験系における機械的刺激は骨表層に負荷される事が示唆された。以上の研究成果は、アメリカ骨代謝学会(ASBMR)、日本矯正歯科学会等の国内外の学会で発表を行い、第70回日本矯正歯科学会&第4回国際会議学術大会優秀発表賞を受賞した。そして以上の研究結果をまとめ、国際誌にBoneへ投稿し、受理された。
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