研究課題
口唇裂・口蓋裂患者に対する顎裂閉鎖時には、新鮮自家腸骨海綿骨移植やオトガイ部からの骨移植が行われる。その際、余剰な骨組織は廃棄されているが、後口再移植を行う場合や、移植を2回に分けて行う場合には、これらの骨組織の長期凍結保存が有用である。本研究では、凍結時の細胞に対する凍害を防止するために開発された磁場を利用したプログラムフリーザーを用いて、解凍後の細胞生存に与える影響と骨関連因子との関わりを明らかにするとともに、凍結骨組織の生体への移植の可否について検討し、以下の結果を得た。1.凍結保存液に20%トレハロースを用い、最終到達温度-30℃、植氷時間15分間、磁場強度0.01mTの条件下で磁場を利用したプログラムブリーザーにより骨芽細胞を凍結保存した結果、解凍直後の細胞生存率は約70%であった。また、解凍後48時間培養を行った細胞については有意な増殖を認めず、ほぼ死滅していた。凍結保存液に10%DMSOを用い、最終到達温度-30℃、植氷時間15分間、磁場強度0.01mTの条件下で骨芽細胞を凍結保存した結果、解凍直後の細胞生存率は約80%であった。また、解凍後48時間培養を行った細胞については、解凍時の生存細胞数と比較して約24%の有意な増加が認められた。以上の結果より、以下の実験には凍結保存液として10%DMSOを使用することとした。2.実験1の条件下にて凍結保存を行ったマウス骨芽細胞のALP,OPN、BSP遺伝子発現について未凍結群との比較を行った結果、それぞれの遺伝子発現量に有意な差は認められなかった。また、凍結後の骨芽細胞のALP活性、OPNおよびBSPタンパク発現についても同様に、対照群と比較して有意な差は認められなかった。
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Cryobiology
巻: 61 ページ: 73-78