研究課題
4週間凍結保存を行ったラット頭蓋骨より、骨芽細胞の遊走と増殖が未凍結の骨組織と同様に認められた。骨移植4週後では移植骨周囲に新生骨は認められず、移植8週後にわずかに骨の新生を認めた。また、移植12週後では、移植骨と既存骨との間隙が新生骨により徐々に閉鎖されつつあったが、骨片が完全に結合するまでには至っていなかった。その後、移植24週経過時においては、その連続性が明確に認められるようになった。一方、対照群においては徐々に骨の新生を認めたものの、術後24週日においてもその量はわずかであった。以上の結果より、磁場を利用したプログラムフリーザーにおける骨芽細胞の至適凍結条件が明らかになった。また、凍結後の骨芽細胞は、高い生存率および増殖能を有するのみならず、骨関連因子の発現量が凍結前と比較して差がないことが明らかになった。さらに、組織レベルにおいても凍結後の骨組織より、骨芽細胞の遊走が認められるとともに、移植後にその生着が生じることが明確に示された。このことから、骨組織の長期凍結保存とその後の移植が可能であり、さまざまな骨欠損症例の治療における有用性が強く示唆された。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Cryobiology
巻: 62 ページ: 181-187