研究概要 |
現在の口唇口蓋裂治療では、Hotz型哺乳床(以下Hotz床)や.術前外鼻形熊矯正を目的としたPresureical nasoalveolar molding 治療が取り入れられている.これら治療により.哺乳時間の短縮,哺乳量・体重の増加.顎裂部への舌陥人の防止による上顎歯槽基底の形態改善か認められる。しかし、このような効果のほかに,申請者は未だ評価されていない「舌運動の改善による哺乳運動の円滑性の向上」や「哺乳が楽に行えることによる患児のストレス改善効果」等があるのではないかと感じている。しかし,舌運動の円滑性に関する評価や母子関係の推進効果を,客観的に研究し報告したものは見られない。 以上より,口唇口蓋裂児において.(1)Hotz床使用による哺乳運動の円滑件向上,(2)哺乳機能改善に伴う,患児へ脳波への影響の2点を解明することを本研究の目的とした。 本年(初年度)は、舌圧計測システムによる舌圧計測を行った。脳波計測については、予算の都合もあり今年度は断念しだが、代替としてエコーを用いた哺乳運動計測方法の確立を試みている.エコーでは、哺乳運動が動画として記録でき、比較的固い組織である口蓋や哺乳床と、動的な舌を対比して観察することができる利点があった。哺乳床形熊の違いにより、哺乳運動の円滑性が異なることも確認された.また、口蓋形態の計測は、当初の計画通り現有設備の3次元デジタイザにて行った。 また、哺乳や摂倉運動についての知識を得るために.日太小児歯科学会大会や摂食嚥下リハビリテーション学会に参加した。日本小児歯科学会では、歯列咬合機能に関する学会発表も行った。さらに、臨床的技能を得るために、外部講師を招聘し、摂食嚥下リハビリテーションに関する講習を開催した.これは、大学内多職種の医療スタッフの参加があり、好評であった。 次年度もこれらの計測を継続して行い、学会発表等を行う予定である。
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