研究概要 |
近年、齲蝕は生活習慣に起因するコントロール可能な疾患と考えられるようになった。しかし、疾病予防に対する患児および保護者の意識を高めることは容易ではない。さらに、疾病予防プログラムも各個人に対応したオーダーメイド歯科医療が求められる。このような観点から、遺伝子検査としての齲蝕発症に対するリスク診断法を確立することは重要といえる。申請者は齲蝕発症に対するリスク診断法を確立するための齲蝕感受性に関わる候補遺伝子の特定を進めている。申請者は過去にマウスにおける齲蝕感受性に関与する候補遺伝子は染色体7、11番の特定領域に存在し、さらに染色体11番のKcnj12が主要遺伝子の1つである可能性について報告している。そこで、これらの齲蝕感受性候補遺伝子を対象に、SNP s解析を試みている。今回、ヒトにおいてこれらの特定領域の遺伝子Kcnj12、STIM1のSNPs解析を行った。その結果、Kcnj12のSNP(rs4985866)においてS.mutansの存在しない群で有意差が認められた(P<0.05)。またSTIM1の各SNP(rs3813880,rs75185880,rs3750996)において有意差は認められなかった(P>0.05)。このことより染色体11番に存在するKcnj12のSNP(rs4985866)が齲蝕感受性にかかわる危険因子となる可能性が示唆された。
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