研究概要 |
近年、齲蝕は生活習慣に起因するコントロール可能な疾患と考えられるようになった。しかし、疾病予防に対する患児および保護者の意識を高めることは容易ではない。さらに、疾病予防プログラムも各個人に対応したオーダーメイド歯科医療が求められる。このような観点から、遺伝子検査としての齲蝕発症に対するリスク診断法を確立することは重要といえる。申請者は齲蝕発症に対するリスク診断法を確立するための齲蝕感受性に関わる候補遺伝子の特定を進めている。申請者は過去にマウスにおける齲蝕感受性に関与する候補遺伝子は染色体7、11番の特定領域に存在し、その齲蝕感受性候補遺伝子を対象にSNPs解析を試み、脚2のSNPが齲蝕感受性に関わる危険因子となる可能性を報告している。 今回、染色体11番の特定領域に存在しヒトとのホモロジーがある遺伝子DLX3,DLX4において被験者200名から抽出したDNAを用いて遺伝子多型を調べS.mutansの有無とその保菌者のDMFT指数を調査し、S.mutansの存在するグループとS.mutansが存在しない群の中でDMFTの2群間におけるSNPsのパターンを比較するSNPs解析を行った。その結果、飢詔のSNPにおいてS.mutansの存在する群で有意な傾向が認められ、DLX4では有意差は認められなかった。この結果から染色体11番に存在するDLX3のSNPが齲蝕感受性にかかわる危険因子となる可能性が示唆された。
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