研究課題
【目的】本年度は、第三臼歯の欠如を示すEL/Seaマウスを用いて、歯の部分的欠如が咀嚼筋のシナプス形成に及ぼす影響を明らかにするため、nAChRサブユニットのmRNA発現を分析した。【対象と方法】第三臼歯が正常に萌出するEL/Kw1をコントロールとして用い、EL/Kw1、EL/Sea共に生後3週まで母乳で飼育し、その後離乳させた。生後3、6、12週目にEL/Kw1、EL/Seaをそれぞれ6匹ずつ安楽死させ、咬筋、側頭筋、腓腹筋を摘出した。摘出した筋組織よりRNAを抽出・精製し、逆転写を行い、cDNAを調整した。咬筋、側頭筋、腓腹筋より得られたcDNAを用いてReal-Time PCRを用い、nAChRのα、ε、γサブユニットのmRNA量を測定した。各週齢におけるEL/Kw1とEL/Seaの咬筋、側頭筋、腓腹筋のそれぞれのmRNA発現量の比較をMann-Whitney U検定を用いて統計解析を行った。【結果】EL/Seaの咬筋において3週齢におけるnAChRのα、ε、γサブユニットのmRNA発現景はEL/Kw1よりそれぞれ1.92倍1、2倍、1.91倍高く、特にα、εサブユニットでは有意差(p<0.05)が認められた。6,12週齢ではすべてのサブユニットに有意差は認められなかった。側頭筋、腓腹筋においては調べたすべての週齢、サブユニットのmRNA発現量はEL/Kw1とEL/Seaとの間で有意差は認められなかった。【考察】咬筋では3週齢におけるα、εサブユニットのmRNA発現量がEL/Kw1とEL/Seaとの間で有意差が認められたことから、3週齢前後に第三臼歯が正常に萌出しないことが、咬筋における神経筋接合部でのシナプス形成時期に影響を与えている可能性が示唆された。現在Real-PCRを用いてmiRNAの測定を検討している。
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Pediatric Dent.J.
巻: 20 ページ: 122-129