研究課題/領域番号 |
22792078
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 恵美子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (80374528)
|
キーワード | bone morphogenetic protein / basic fibroblast growth factor / 水平性骨欠損 / 多層移植法 / 二層移植法 / 歯周組織再生 |
研究概要 |
水平性骨欠損は、歯周病の病態では臨床的に最も多くみられるが、いまだ有効な再生治療法がない。本研究課題では、歯周組織の治癒に関わる成長因子に着目し、申請者が開発している多層移植法をもちいて、再生量の比較検討を行っている。 本年度の研究目的は、水平性骨欠損にbone morphogenetic protein(BMP)とbasic fibroblast growth factor(bFGF)を移植した場合の治癒反応を検討することである。 ビーグル犬(6頭)の前歯部に4mmの水平性欠損モデルを作製した後、以下の群を設定して移植を行った。 (1)根面に2μlbFGF/コラーゲンを移植した後、その外側に4μlrhBMP2/コラーゲンを移植(N=10) (2)2μlbFGFと4μlrhBMP2混合をコラーゲンに配合して移植(N=10) (3)2μlbFGF/コラーゲンを移植(N=10) (4)4μlrhBMP2/コラーゲンを移植(N=10) (5)対照(コラーゲンのみ移植)(N=10) 観察期間を8週として病理組織学的評価を行った結果、bFGFとrhBMP2を2層に分けた移植法は、新生骨の増加とセメント質の形成が認められ、骨性癒着は認められなかった。それに対してrhBMP2群およびrhBMP2とbFGFの混和群は、新生骨は認められるものの、セメント質の形成は認められず、局所的に根吸収や骨性癒着が認められた。 以上の結果から、(1)bFGFとrhBMP2の歯周組織再生への影響は、移植法によって異なる。(2)bFGFとrhBMP2を2層で移植することによって、歯根膜と歯槽骨が再生する可能性が示唆された。(3)現在、bFGFによる歯周組織再生療法の可能性が示されているが、狭い骨欠損が適応と考えられている。しかし、本研究で用いた移植法でBMPを併用することによって、広い骨欠損でも歯周組織再生の適応となる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は、これまでの研究結果に基づいたものであり、実現性が高いものとした。さらに研究の実施には、大学院生の協力を得られたため、計画どおりに進行した。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究結果を十分に解析検討して、今後は申請者が考案した歯周組織再生療法の確立を目指す。
|